研究課題
基盤研究(C)
複素射影空間TP^n内の疑凸領域Ωで、その境界aΩがC^∞級の実超曲面であるものについて、L^2評価式の方法を用いて研究し、NZ2のときTP^nはコンパクトなLevi平坦超曲面を含まないことを示した.その証明は南パリ大学のN.Sibony氏との共著論文としてまとめ、Annals of Mathに昨年9月に投稿し、レフェリーの修正意見を参考に、訂正、加筆したものを再提出した所である。この主要な研究の前段階として、平成8年度には、Ωを上の通りとしたときΩは有界な多量劣調和皆位関数をもつことを示した.この仕事もSibony氏との共同研究であり、論文はNagoya Math.J.に掲載予定である.L^2評価式は、複素多様体のモジュライ空間の構造の研究においても有用な道具であるが、この方向で吉川は数論で有名なKroneckerの極限公式を幾何学的なアイディアにより高次元化した。この仕事(報告書参照)はまだ公表されてはいないが、Borcherdsの保型形式の幾何学的解釈を与えるものとして高く評価される。いわば時流の最先端を行く研究である。
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