研究概要 |
正則函数の芽のなす層Oを係数とするコホモロジー群の消滅と Stein性の研究に関連して,まず次の問題を考えてみた。複素n次元空間内にある領域Dにおいて,Cousin-I 問題が解けることと1次元コホモロジー群H^1(D,O)=0となることは,同値であろうか?この問題は現在までも解かれていない。そこで、この問題に関連して,次の問題を考えてみた。ある領域Dにおける自明でない正則コサイクルα∈H^1(D,O)で,有理型コサイクルμ(α)と見てもH^1(D,m)内で自明でないものが存在するだろうか? 本研究において、まず上の問題について,肯定的な解答を得た。すなわち,複素2次元空間より原点をぬいた領域をDとし,Dにおける正則コサイクルとして,α={exp(11/(ZW)}をとると,αは正則函数に依って分解されないばかりか,有理型函数に依っても分解されないことが分る。証明の要点は、次のことである。Dでは,Thullenに依れば,Cousin-II問題が常に解けること,さらに,係数の比較より定まるある無限次の連立方程式が自明な解しか持たないことを示すことである。 次に,複素射影空間内のStein領域の在り様を明らかにする為に,次の様な問題を考えてみた。2次元複素射影空間より代数曲線をぬいたStein領域をDとするとき,代数曲線の次数が3でなければ,Dから複素2次元空間へのはめ込みが存在しないことが知られているが,3次のとこは,曲線が尖点をもつときは,はめ込みの存在が知られていた。ここでは,非特異3次曲線について,はめ込みの有無を研究した。その結果,4次元空間への埋蔵等いくつかの結果を得た。 その他,関連研究として,フェルマ-曲線上のワイエルシュトラス点についての,いくつかの知見を得た。
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