1. Emden-Fowler型の非線形楕円型偏微分方程式をn次元の単位球及び輪環領域の内部で考察する。この方程式の解で、n次直交群の閉部分群Gが作用するときに不変なものをG不変解と呼ぶ。球対称解はG不変解である。ここでは逆の問題について考察した。Gは直交群の閉部分群なので、単位球面上の変換群になっている。次のことが示された。G不変であり球対称でない解が存在するための必要十分条件は、Gが単位球面上で推移的でないことである。証明には、変分法、関数解析、リー変換群論、常微分方程式のスツルム・リウビル理論等が使われる。 2. 走化性をもつ細胞性粘菌の集合体形成を説明する数学モデルであるKeller-Segel方程式系を研究している。 (1) Keller-Segel方程式系を単純化した非線形放物型偏微分方程式系について研究を行った。特に、感度関数が一次関数で空間次元が二次元のときの爆発解の爆発時刻における挙動について新しい結果が得られた。 (2) 球対称な爆発解は、原点にL^1量を集中する事により爆発を起こすことが示された。 (3) 解のL^1量をパラメーターとして、パラメーターの値による非定数定常解の存在と非存在についての成果を得た。
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