研究概要 |
R^<n+1>の複素近傍Ωにおいて、次のような1階非線型偏微分方程式の初期値問題を考える: (1)F(x,∂_xu)=0,u(0,x′)=〓(x′),x=(x_0,x′)∈Ω(⊆C×C^n). Fと〓は、R^<n+1>の余接束E=T^*R^<n+1>およびR^n上の(実数値)実解析的関数とする。関数Fが、ある関数F_0と微小摂動F^^〜の和F=F+F^^〜である場合を考え、次の仮定(2)〜(6)を置く: (2)F_0をハミルトニアンとするハミルトン系は(実解析的な)可積分系である。 すなわち、E上の(実数値)実解析的関数F_1,…,F_nが存在して、Eの各点でdF_0∧…∧dF_n≠0かつ{F_i,F_j}=0(0【less than or equal】i,j【less than or equal】n)が成立する。ただし、{F,G}=Σ^^n__<j=0>(].SU.[)である。次に、c=(c_0,…,c_n)∈R^<n+1>に対し(F_0,…,F_n)のレベル集合M_cをM_c=∩^^n__<j=0>F^<-1>_j(c_j)で定めるとき、 (3)R^<n+1>の開集合UでU∩{c_0=0}≠φを満たすものが存在して、M_c(c∈U)はコンパクト。 (4)あるc^^-∈U∩{c_0=0}とX^^-=(x^^-,ξ^^-)∈(].SU.[)が存在し、(].SU.[)と(].SU.[)とは横断的に交わる。 (5)〓が定めるEの部分多様体S〓={(x,ξ)∈E:x_0=0,ξ′=∂_<x′>〓(x′)}も、(].SU.[)と横断的に交わる。 仮定(2)〜(4)の下で、正準写像Φ:(q,p)→(x,ξ)で各pを固定する毎にq→Φ(q,p)があるM_cの普遍被覆になるものが存在し、引き戻しG_0=Φ^*F_0はpのみの関数になる。このG_0(p)について (6)(].SU.[)(ここで、A^Tは行列Aの転置行列を表す。) 定理:仮定(2)〜(6)の下で、レベル集合の合併(].SU.[)のある複素近傍Wにおいて摂動F^^〜の大きさ<sup>___W|F^^〜(x,ξ)|が十分小さいとき、(1)の解のΩ上への解析接続は無限多価になる。
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