研究概要 |
岡部靖憲東大教授と私が提案した、時系列における弱定常性を検定する、Test(s)(Hokkaido Mathematical Journal,20,1991,45-90.)は、100個程度のデータではかなり精度が高い。しかしながら、データの個数がふえたときに、検定統計量の収束速度に問題があり、検定結果が悪くなる傾向がある。そのために、平均=o、分散=1、直交性を検定するための統計量を修正して、別の統計量を採用した。平均0の検定には、t-検定に近い統計量、分散1の検定は、Test(s)と異なり、4次のもモーメントを使わない統計量を用いた。直交性の検定は、Test(s)がデータの出発点をずらして数通りの計算を行ったのを改めて、簡明にした。この成果は、"A revised test of Test(s)"(発表予定)にまとめている。 時系列間の因果解析について、線形の場合だけでなく、非線形においても、局所因果関係の定義を与えた。具体的なデータが与えられたときの因果関係の有無の判定方法としては、因果値という概念を導入して、Hokkaido Mathematical Journal,20,1991,45-90.で与えた検定方法を改善したと考える。因果値の分布を具体的に求めることも、一様乱数を発生させて、シミレーションをおこなうことで解決できる。データが弱定常性をもつときに、KM_2O-ランジュバン方程式を応用して、以上の計算ができる。この方法の応用として、国内総生産とマネーサプライの因果関係を分析した。これらの結果は、"A causal value of time series"にまとめた。
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