研究分担者 |
税所 康正 熊本大学, 工学部, 助教授 (70195973)
坂田 年男 熊本大学, 工学部, 助教授 (20117352)
内藤 幸一郎 熊本大学, 工学部, 教授 (10164104)
横井 嘉孝 熊本大学, 工学部, 教授 (50040481)
櫃田 倍之 熊本大学, 理学部, 教授 (50024237)
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研究概要 |
平成8,9年度に研究課題「時間的に一様でないマルコフ過程の再帰性とその応用」により、科学研究費の補助を受け、従来研究されてこなかった、時間的に変動するマルコフ過程の再帰性に関する一般的取り扱いについて研究を始めた。時間的に一様なマルコフ過程M=(X_t,P_x)の再帰性は、同値な条件(s)(滞在時間の無限性)∫^∞_0I_C(X_t)dt=0or∞a.s.P_x,(w)(確率1での到達可能性)P_x(σ_c<∞)=0or1,(m)(平均滞在時間の無限性)E_x∫^∞_0I_C(X_t)dt)=0or∞.として定義される。ところが、時間的に変動する場合は、一度帰ってくるまでの挙動とその後の挙動は一般に関係がない。そのために、上の条件はもはや同値ではない。しかし、(s)より(m),(w)が従う事は分かる。またこれらの性質は場所だけに関係する時間変更では不変であるが、時間的にも依存した時間変更については(w)を除いて不変ではない。この研究においては、初めに(s)および(w)が成り立つための一般的な公理を与えた。この公理は、それぞれ、ある加法的汎関数あるいは集合でkillingした過程の推移確率の減少の位数と密接に関係がある。この公理を用いて、ブラウン運動をφ(t)により時間変更を行った場合に(s)が成り立つためのφ(t)の増大の位数を与えた。さらに、ある種の時間的に一様な再帰的拡散過程を、関数ρ(t,x)を用いて∇logρによりずれの変換を施した拡散過程が再帰的となるためのρの条件を与えた。この様なクラスは確率力学とも関連し重要であると考える。(s)の意味の再帰性は、エルゴード定理および加法的汎関数の比に関する極限定理などの、極限定理を考察するときには欠かせない性質と考えられる。従って、本研究は時間的に一様でない再帰的マルコフ過程の極限定理の研究への新しい問題を提供した。これらは、従来の研究に無い新しい課題であり、現在の段階では種々の条件を課した部分的な結果しか得ていないが、今後の発展が望まれる課題と考える。
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