生活圏の水と大気の流動数理とパソコン・シミュレーション

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 08640305
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 茨城大学
• 研究代表者: 大西 和榮 茨城大学, 理学部, 教授 (20078554)
• 研究分担者: 中村 玄 東京理科大学, 理学部, 教授 (50118535) ; 坂田 文彦 茨城大学 理学部, 助教授 (50013438)
• キーワード: 水圏環境 / 数値流体力学 / ナビエ・ストークスの方程式 / 浅水長波方程式 / 有限要素法 / コンピュータ・シミュレーション / 環境問題

研究概要

本申請では、パソコンやワーク・ステーションといった極く小規模な計算環境を利用して研究を継続しており、しかも生活に身近な流れのみを直接の計算対象としている。
1.複雑な領域形状での生活環境流れの計算に適した手法として、有限要素法を選び、三角形一次要素を用いた分離型解法、およびテイラー・ガラーキン法で支配方程式を離散化した。
2.環境問題のシミュレーションにおいては、しばしば、境界の位置を作為的に設定し、与えられた偏微分方程式の初期値・境界値問題が考察される。しかしながら、境界条件や初期条件は本来、未知の場合が多い。適切な境界条件を推定して、方程式に与えることが数値計算結果の成否を決定する。殊に、低層大気圏の空気の流れの開境界条件については、特性曲線を利用した上流型境界条件が良好な計算結果を与えることが分かった。
3.非圧縮性粘性流体の流れを記述するナビエ・ストークスの方程式と、浅水域における開水路および長波を記述する浅水長波方程式について、グラフィック処理機能をもつ入出力データ自動作成付きのパソコン用プログラムを開発し、そのコードの確認を行なった。コードの一般公開を目的として、この研究成果は早速、成書にまとめられ、朝倉書店から近日中に発売される。

研究成果

• [文献書誌] K.Onishi: "Numerical solution of a boundary inverse problem for the Laplace equation." Theoretical and Applied Mechanics.44. 257-264 (1996)
• [文献書誌] K.Onishi: "Boundary element solution for the initial value problem in plane elasticity." BEM・テクノロジー・コンファレンス論文集. 第6巻. 63-66 (1996)
• [文献書誌] K.Onishi: "Numerical solution to boundary inverse problems of the Laplace equation in two dimensions." 京都大学数理解析研究所講究録. (印刷中).
• [文献書誌] F.Sakata: "Nonlinear dynamics and nuclear collective motion." Proc.of Belyaev Symposium,Philadelphia (1994).Phys.Rep.264. 339 (1996)
• [文献書誌] G.Nakamura: "Fundamental solution of anisotropic elasticity." Proc.Japan Academy.72. 39-42 (1996)
• [文献書誌] G.Nakamura: "A nonuniqueness for an inverse boundary value problem in elasticity." SIAM J.Appl.Math.56. 602-610 (1996)
• [文献書誌] 中村玄: "境界値逆問題・・・Calderonからの15年" 数学. 第48巻. 259-281 (1996)
• [文献書誌] G.Nakamura: "A new method for solving the mixed problem for the wave equation with variable coefficients." Proc.16th Workshop on Pure Math.(印刷中).