まず、本研究で用いる中間赤外線領域の分光装置の高性能化のため、赤外線検出器をより感度の高いものに置き換えた。 この分光器を用い、アメリカ合衆国のアリゾナ大学スチュワ-ト観測所のレモン山望遠鏡とビゲロウ山望遠鏡を使用して、観測を遂行した。観測はレモン山望遠鏡で12月10日から15日まで、ビゲロウ山望遠鏡で17日から19日まで行った。 レモン山望遠鏡では新しく検出器を交換してからの初めての試験観測を兼ねて、質量放出を行っている明るい天体の中で13ミクロン放射をもつものの観測を行った。 ビゲロウ山望遠鏡は、レモン山望遠鏡よりも高精度であるため、可視光では見えない若くて惑星形成過程にあると考えられる天体の観測ができるものと考えていたが、分光器が不調になり、雑音レベルが上がったため、目的とする天体をより明るいものに変更することにした。そして、レモン山望遠鏡での観測に引き続いて13ミクロン放射をもつ明るい天体の観測を行った。 この13ミクロン放射は星周ダストが起源と考えられる放射で、Oxygen RichなAGB星の約半数には見られるものでありながら、これまでは観測精度がわるいこともあって同定がなされていないものである。今回の観測で約20個の天体を観測することができたので、これをもとにこの放射の形状とシリケイトなどの他のダスト放射との関係を見出していくために、観測データの解析を進めている。 また、惑星形成過程にあると考えられる天体の観測もこれから進めて行くために3月にはアメリカ合衆国のハワイ島マウナケア山にある英国赤外線望遠鏡(UKIRT)に我々の分光装置をとりつけて試験観測を行う。
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