膨張宇宙における密度ゆらぎの成長の理論によると、10^7太陽質量程度のダ-クマタ-塊は、まわりの物質との潮汐相互作用により角運動量を得て、ハイz(z〜数百)時にサイズ数パーセクの回転支持円盤を形成する。これがもととなって、クェーサー活動の担い手となる巨大ブラックホールをつくるかどうかは、自己重力不安定や粘性等の物理過程により、自己重力円盤がどのようにふるまうかが鍵となる。しかしながら自己重力粘性円盤の進化に関する解析解は研究開始当時知られておらず、数値計算も難であった。そこで自己相似解を求めるべく奮闘した結果、みごと一連の解を見つけることに成功した。この解によると円盤は、回転速度一定、降着速度一定、半径の2乗に逆比例する密度をもつ粘性のない平衡円盤解(メステル解)から出発して、中心から崩壊を始め、円盤中心の密度が時間と共に激しく上昇する。結果、密度が半径の-8/3乗に比例するコアを形成することがわかった。興味深いことにこのような急な質量分布は一般相対論的に不安定であり、ブラックホールを形成する可能性が出てきた。このあたりを今後つめていく。 ところで、せっかく巨大ブラックホールを作っても、そこにまわりのガスが降り積もらない限りクェーサーは明るく光らない。しかしながらわれわれは、爆発的星形成領域からの輻射によって円盤ガスの角運動量を抜き取り、高速な降着を促進するメカニズムを発見した。これは、クェーサー形成のみならず、今まで謎であった活動銀河核へのガス補給の問題を解決するメカニズムとしても有効であることが判明した。
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