研究課題/領域番号 |
08640334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
木下 宙 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (00012857)
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研究分担者 |
吉田 春夫 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (70220663)
中井 宏 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (60155653)
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キーワード | カイパ-ベルト / 共鳴 / 古在共鳴 / 冥王星 / 軌道安定性 |
研究概要 |
現在軌道が決められていて、軌道長半径が35AUから50AUの間にあるカイパ-ベルト小天体は39個である。39個の小天体について3億年の数値積分を行い軌道の特徴を明らかにした。カイパ-ベルト小天体と海王星の平均運動の比が正確に3:4、2:3、1:2の共鳴関係にある天体は、それぞれ、2、12、1個の天体で、これは、小惑星帯における木星との4:3共鳴(チューレ群2個)、3:2共鳴(ヒルダ群66個)の構造に対応していた。また、海王星との共鳴関係にはないが、軌道が安定であった19天体は全て離心率が小さく海王星には接近しない軌道であった。 半解析的な一次の永年摂動論によると、2;3共鳴では離心率が0.24付近に近日点引数が秤動する領域、すなわち古在レゾナンスの領域が現れる。この秤動領域は軌道傾斜角が増加するにつれて、秤動の振幅は大きくなるが、軌道傾斜角が臨界傾斜角(63.4度)以上では消滅する。これは数値積分の結果と一致し、共鳴構造の解明に半解析的な一次の永年摂動論が使用できることを示している。しかし、この永年摂動論では、海王星以外の摂動天体の影響を太陽の赤道部の脹らみの効果と等価として考えている。離心率の大きな天体に適応出来るかどうか、今後検討しなければならない。 臨界引数の振幅により、古在レゾナンス領域及び昇交点経度の差の秤動領域がどう変化するかを明らかにした。海王星との共鳴関係が崩れた場合、小天体の離心率と軌道傾斜角の値により、軌道長半径が大きく変化するグループ、離心率が大きく変化するグループ、軌道傾斜角が大きく変化するグループに分類できた。このことが共鳴構造の進化にどう影響するか、また、多数のテスト天体を配置した数値シミュレーションによってカイパ-ベルトの群や空隙という共鳴構造の生成・進化を明らかにすることが今後の研究課題である。
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