本年度、本研究課題における以下の2つの点について大きな進展があった。 ・原子核クローン分解反応等における強度分布関数を複素座標スケーリング法を用いて求めることが可能になった。 この研究によって、以下の重要なことが明らかになった:(i)共鳴状態の期待値、行列要素の計算が複素スケーリング法を適用することによって不定性なく求められることがわかった。(ii)電磁遷移強度などが和則値が有限個の共鳴状態で尽くされる場合があることがわかった。(iii)結合状態・共鳴状態・回転された連続状態の3つの種類の状態によって完全系が構成(拡張された完全系と呼ぶ)されることを用いて、実エネルギー軸上での共鳴状態の強度関数を求めることができた。 ・複素座標スケーリング法の適用によって共鳴状態の分析が大きく広がった。 中性子過剰核、重イオン分子共鳴状態、クオーク模型をもちいたハドロン共鳴状態の研究に複素座標スケーリング法が適用され、各種共鳴状態について興味深い研究成果が得られた。
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