| 研究概要 |
宇宙の熱史のはじまりは,インフレーション後の無の宇宙からインフラトン振動による粒子生成だとする考えが最も有力である.また,超対称,超重力理論にはポロ-ニ場を代表とする多くのスカラー場が存在し,これらのあるものはポテンシャルが宇宙初期にほとんど平坦である.従って,これらのスカラー場の振動が宇宙のエネルギーを支配することがしばしば起る.
振動場による粒子生成の理論は私たちを含む多くの最近の研究により,新たな知見が得られた.従来は,静止した粒子の集団が独立に摂動論的な公式により崩壊するという描像が取られていたが,振動の振幅が大きいときにはこの考えは誤りであることが明らかになった.
基本的な成果として,周期変動する場と結合した量子場の時間発展を解き,粒子生成が,粒子の運動量と振動場の振幅の2次元パラメータ面の無限に多くのバンド領域で激しく起ることを示した.また,これらのバンドの小振幅極限が振動場の粒子の多体崩壊であることを摂動論により証明した.
応用として,パラメーター共鳴効果による激しい粒子生成の効果を考慮することにより,インフレーション直後に生成されるグラヴィティーノの量が元素合成の制約を満たしつつ,バリオン生成に有利な高温を実現しえることを示した.
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