(1)宇宙のバリオン生成に閑して、ベクトル型の重いクォークを有する模型を用いて、ヒッグスポテンシャルによる自発的なCPの破れのある場合に、宇宙のバリオン生成を研究した。300GeV-500GeVの質量を持つ、重いアップタイプのベクトル型クォークが存在する場合、バブルの壁から生成されるバリオン数とエントロピーの比は10^<-10>-10^<-11>となった。この様な自発的なCPの破れを伴う場合には、CPの偶と寄の2種類のタイプのバブルが生じる。一方のタイプのバブルのみを残すためには、10^<-16>程度のCPの破れを直接導入しする必要が生じた。又この模型の電弱相転移を検討した。(2)超対称模型を用いたバリオン生成模型として、この模型に特有の粒子である、チャージノあるいはスクォークを用いた機構を考察し、宇宙のバリオン数を自然に説明した。CPの破れとしては、チャージノあるいはスクォークの質量行列の質量行列に含まれる超対称模型に特有のものを用いたが、この様に宇宙のバリオン数を自然に説明するCPの破れは、一方では中性子の電気双極子能率の測定実験において、その精度を1桁上げると観測可能であることが解かった。これは超冷中性子を用いる実験家を刺激する成果であった。(3)インフレーションによって、宇宙初期にあった量子揺らぎがどうのようにして、古典化するのかを、環境の摩擦拡散効果を取り入れて議論した。その結果、最終的に得られる揺らぎのスペクトルは、この古典化機構の詳細に依存することが解った。
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