研究課題/領域番号 |
08640357
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
菅本 晶夫 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (70132686)
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研究分担者 |
白石 清 山口大学, 理学部, 助教授 (80202117)
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キーワード | CPを破る素粒子模型 / バリオン生成 / 拡張された標準模型 / 超対称模型 / ベクトルライク・クォーク模型 / WWZ相互作用 / HERAアノマリー / 光子-光子衝突型加速器 |
研究概要 |
先ず始めに、CPを破る相互作用を電子・陽電子衝突過程を用いて調べた。 ゲージボソン3点相互作用は、非可換ゲージ理論に特有のもので、理論を検証するのに非常に重要である。この研究では、拡張された標準模型がWWZ相互作用に及ぼす影響を調べた。特に、CPを破る3点結合は、標準模型では高次の量子補正にのみ現れ、観測不可能だと考えられている。ところが、拡張模型によっては、1ループのグラフからCPの破れが生じ得る。そこで、超対称性模型およびベクトルライク・クォーク模型を仮定して、実際に1ループでCPの破れが生じる事を示し、その大きさを評価した。 超対称性模型の場合、WWZに生じる結合の大きさは、近い将来の電子・陽電子散乱実験で、Wボソン対生成過程を調べる事により検出が可能になる程、大きい値であった。一方、ベクトルライク・クォーク模型の場合には、超対称性模型に比べて、残念ながら小さな結合しか引き起こさない事も分かった。 次に、HERAで観測された、いわゆる「HERAアノマリー」の理論的解析を行った。この現象を、R-パリティーを破る超対称性模型のスカラートップ粒子の生成で説明するシナリオを、テバトロン実験と原子を用いたパリティーの破れの実験の双方から、より強い制限を付けた。本年度からフェルミ加速器研究所のビーム強度が上昇する事を考慮しても、このシナリオは生き残った。 更に、光子-光子衝突型加速器の物理を研究した。この加速器ではスカラー粒子が直接生成できるので、超対称性模型の重い方のスカラー・ヒッグス粒子と偽スカラー・ヒッグス粒子の質量が近い場合に、その干渉効果を研究した。この方向の研究は、われわれのグループとしても、将来更に発展させてゆく計画である。
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