研究概要 |
1.2次元弦理論の精密コンピュータ・シミュレーション 弦が作る2次元世界面とd個のスカラー場が結合した系は、d次元空間内での弦の運動を記述すると考えられている。しかし、超対称性を持たないボ-ズ弦ではd=1を境にして世界面が不安定になることが理論的に予想されていた。一方、数値計算ではdが1を越えても、すぐには面の不安定性が現れないと報告されていた。そこで、従来の計算法では有限サイズに起因する数値誤差を無くすことは困難であると考え、グランド・ガノニカル法により有限サイズ効果を考えた数値シミュレーションを行った。その結果面のトポロジーが球・トーラス・ダブル=トーラスの場合について理論の予想が正しいことを確かめた。 2.3,4次元アインシュタイン重力の量子化と2次元重力との類似性。 3,4次元アインシュタイン重力は理論的には解析解が未知のため数値計算による結果を何と比較すべきか明確でない。一方、2次元重力は多くのことが解析的に知られていて数値実験との比較が成功を収めている。特に2次元面のスケーリング則は、理論の予想と見事に一致している。そこで、3および4次元シミュレーションで作った時空の2次元断面の性質を臨界点近傍で観察した。その結果は、驚くべきことに2次元重力のストリング感磁率と一致するという結果を得た。
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