研究概要 |
過去3年間の研究を通じて以下の事柄を明らかにした.(1)2次元時空構造にスケーリング則の存在することを明らかにし、理論との比較を行い良い一致を得た.このことより、我々が採用した力学的単体分割法は正しく連続理論に対応する数値シミュレーションであることを確認した.(2)弦の軌跡が作る世界面の複素構造を面の比抵抗を測定する事により決定した。また、比抵抗の分布を調べることによりセントラル・チャージが1を境にして面の構造が不安定になるとする連続理論の予想を確認した.(3)2次元面の統計力学的性質を調べ、面がとる状態はsmooth,rough,polymerの3クラスに分類できることを示した.(4)高次元(3,4次元)空間の性質を2次元での方法論に基づき分析し、空間構造のスケーリング則には次元によらない共通性のあることを見出した.(5)測定の有限サイズ効果が純重力以外では2次元でも予想以上に大きいことを可積分模型を用いて示した。その後、グランド・カノニカル・シミュレーションにより求めたデータを有限サイズ・スケーリング法により測定をやり直し連続理論の予測が再現されることを確認した. これらの結果をもとにより現実的な状況でシミュレーションを進め、最近の結果から以下のような新しい知見を得た。これらは、次の計画として進展しつつある.(1)局所超対称性を保ち、正しい自由度数を持つスーパー・ストリング模型の格子作用を決定した.また、小さい配位で超対称性が発散を押さえていることを解析的に確認した.これによりスーパー・ストリングの数値計算が始めて可能となった.現在大規模シミュレーションを準備中である.(2)アインシュタイン重力とU(1)ゲージ場を結合することにより新しい相が出現することを見出した.これは連続理論につながる4次元量子重力が存在する可能性を示唆している.現在相転移の次数を有限サイズ・スケーリングを用い測定中である.
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