研究概要 |
本研究計画の柱は次の2つからなる。 1)原子核における3体共鳴現象を広く整理・分析し、そこに見られる共通性と特異性を見いだすこと、 2)原子核における3体共鳴の典型としてA=6(^6He,^6Li,^6Be)の原子核を取り上げ、その特徴を詳細に分析すること。 その研究遂行計画に沿って、本年度は(H.8)は以下の研究を行った。 i)中性子零線近傍の原子核、ハイパー核、軽い核の励起状態におけるクラスター構造と3体共鳴状態の特徴に解明する研究を、今年度は^<11>Li核の励起状態について行った。最初に、基底状態のエネルギーを説明することを^9Li+n+n 3体模型で行い、その不足分を定量的に示した。その不足分は^9Liコア核の励起を伴った^9Li+n+nチャンネルの混合によってほぼ説明され得ることを示した。それらの研究成果は、H8年6月3-7日大宮市で開催された国際会議(The Fourth Int.conf.on Radioactive Nuclear Beams)のポスターセッションで報告・発表された。次に、^9Liコア核の励起に伴う^<11>Li核の励起構造の研究を本格的に開始した。^9Liコアにおける2中性子の対相関による励起がバレンス中性子とパウリ原理の効果で結合する機構を^<10>Li(=^9Li+n)核で分析することから始めた。 ii)複素座標スケーリング法を用いた3体共鳴状態の研究は2つの方向から行われた。1つは、中性子零線近傍の原子核の共鳴状態の研究であり、もう1つは、共鳴エネルギー・共鳴巾以外の物理量を複素座標スケーリング法を用いて分析する研究である。前者については、^9He,^<10>Heの共鳴構造の研究、鏡映核^<11>Be,^<11>Nの共鳴状態におけるThomas-Ehrman効果について研究、及び鏡映核^<10>Li,^<10>Nにおける共鳴構造の研究が行われた。また、後者については、^4He+n+n構造を持った^6He核の電磁気的破壊反応の分析を複素座標スケーリング法で得られた3体共鳴状態の解を用いて分析する研究を行ってきた。 それらの研究成果は、現在4遍の論文として発表済み、もしくは投稿中である。
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