場の量子論の非摂動的現象の理解、特に理論の相構造や力学的対称性の破れの機構の解析は、非常に重要な課題であるが、その解析方法、特に解析的な手法はまだまだ未開発である。そこで金沢大学の青木らとWilson流の非摂動的繰り込み群を用いた解析に着目し、その定式化解析方法や近似法、素粒子物理学の典型的非摂動的現象であるカイラル対称性の破れの現象への適用についての研究を行った。 特に、スカラー理論に対する非摂動的繰り込み群のより良い近似法を開発とその数値的解析、ゲージ理論におけるカイラル対称性の破れの繰り込み群の定式化と具体的な解析、そしてそれらとSchwinger-Dyson方程式による解析との比較、さらに有効作用やカイラル対称性の秩序パラメータの計算方法の開発を行った。またゲージ相互作用をするNJL模型における非摂動的繰り込み可能性についての非摂動的繰り込み群の観点からの考察などを行った。 一方、インスタントンのような非摂動効果の例として、トンネル現象について非摂動的繰り込み群を用いて解析し、さらに超対称性の力学的破れについても解析した。また超対称ゲージ理論の非摂動的現象として、特にN=2の超対称QCDにおける真空の構造や対称性の破れ、モノポールの属性についての研究を行った。
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