1.2次元量子重力と相互作用した、有理型Landau-Ginsburgポテンシャルで表される位相的な共形場理論の研究を行った。この理論に分数の無い可積分系のKP階層があることを明らかにした。この可積分構造を利用して理論のN点相関関数を計算する一般的方法を確立した。 2.量子色力学のSeiberg-Witten理論を理解するため、それと等価であることが知られている周期的戸田格子理論の可積分構造を群論的側面から研究した。具体的には、周期的戸田格子理論のLax演算子を異なるLie群の表現次元で解析した。そのLie群がA型とB型の場合には、基本表現のLax演算子から分散の無いKP層が構成できることが知られているが、高次元のLax演算子にどんな階層構造が入れられるか分かっていない。そこで実際にLie群としてウニタリー群の場合を考察し、6次元、8次元、10次元表現のLax演算子を計算しLandau-Ginsburgポテンシャルを構成した。現在、各々の表現における可積分階層構造を精査している。これを理解し、2次元量子重力と相互作用した高次元表現の周期的戸田格子の完全解を得ることを目途とする。これらのことは来年度に引き続きの研究課題である。 位相的場の理論を有効に記述する理論としてKahler多様体上の粒子の量子力学を考えることができる。Kahler構造をもった等質空間における粒子の量子力学の問題の完全解を与えた。(現在執筆中)
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