研究課題/領域番号 |
08640366
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松岡 武夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90022722)
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研究分担者 |
松田 正久 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30111868)
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キーワード | 超弦理論 / 湯川結合 / 小林・益川行列 / フレーバー対称性 / シ-ソ-機構 / 一状態混合 / 動力学的超対称性の破れ / ソフト質量項 |
研究概要 |
この数年の多くの研究により、超対称ゲージ理論における非摂動的効果が解明され、超対称性の動力学的な破れの機構についても理解が大きく前進した。しかし、低エネルギーにおける超対称性の破れのパラメーターの特徴を大きく支配しているのは、むしろ破れの伝達の機構である。最近、フレーバーが変化する中性カレントの強い抑制を自然に説明できることから、ゲージ相互作用が伝達の担い手とする模型に注目が集まっている。ゲージ相互作用がこの伝達の担い手とする原形の模型は、伝達のための余分なゲージ相互作用とゲージの一重項の基本場とをad hocに導入した複雑な構造の模型で、しかも、真空がQCDカラーを破るという重大な理論的困難を持っていた。そこで、本研究において、超対称性の破れの伝達のための場をad hocに導入せず、出発点に採った元の理論から有効理論を正しく導出してこの問題点を解決する具体的模型を提案した。これにより、QCDカラーの破れのない現実的な真空が解として導かれることも示した。 最近、μニュートリノとτニュートリノの間に大きなフレーバー混合があり、レプトンとクオークの小林・益川行列の階層的構造に大きな違いがあることが示唆されている。本研究の見地では、レプトンにもクオークと同じように状態混合は起きるが、SU(2)_L-doublet同士の混合であるため、これを通して小林・益川行列は生じない。ところが、ニュートリノには、シ-ソ-機構が起き、しかもマジョラナ質量にも世代間の階層的構造があることが起源となって、荷電レプトンとニュートリノの対角化のユニタリー行列にずれが現れることになる。こうして、クオークとレプトンの小林・益川行列の起源は異なっており、両者の階層的構造の違いも自然に説明できることを明らかにした。
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