今年度の研究実績は次の通りである。 1)大きな混合を実現するニュートリノのMass Texture SuperKamiokande の最近の大気ニュートリノに対する実験報告は、第2・第3世代のニュートリノν_μとυ_γの間の非常に大きな混合を示唆している。一方、太陽ニュートリノ欠損を説明するMSW解(small angle solution)は第1・第2世代のニュートリノυ_eとυ_μの間の小さな混合を示唆する。ここでは、これらのデータが、果たして、SO(10)のようなGUTの枠組みの意味するquark-leptonの間のparallelismと矛盾なく理解可能なのかどうかを調べた。その結果、up-type quarkの質量行列が第1・第3世代の間でラベルを交換しているような形の場合に、自然なright-handed neutrinoのMajorana質量行列がある事を見出した。この場合には、quark-lepton間のparallelismと矛盾が無いばかりでなく、i)大きなυ_μ-υ_τ混合角が、Cabibbo角とMSW角の間の不一致の問題を自然に解決する、さらに、ii)このright-handed neutrinoとMajorana質量行列M_Rは、単純な統一理論の存在を示唆する、興味深い二つのmass scale 10^<10-11>GeVと10^<16>GeVを持っている。また、iii)これまで問題の指摘されていたbottom/tauの質量比の問題に対して自然な解決を与える。 2)向き付けのない開・閉弦混合系のゲージ不変な弦の理論 これまで、Light-cone gaugeに於いても定式化の無かった、向き付けのない開・閉弦混合系のゲージ不変な弦の場の理論を構築する仕事をこの1年間ほど行い既にその作用積分のtree levelでのBRS不変性を証明した。これまでの開弦を含む場の理論は、全て1-loopレベルでのアノマリーを無視しており、このアノマリーの存在のために、平坦なミンコフスキー時空の上では向き付けのない開・閉弦混合系でゲージ群がSO(2^<13>=8192)(超対称な場合はSO(2_5=32))の場合以外、ゲージ不変性が壊されるのである。.
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