1. クォークの質量と混合行列から、クォークの質量行列を再構築する研究を行った。 また、クォークとニュートリノの混合を統一的に記述するために、超対称SO(10)大統一理論に基づき解析を行った。特に、ヒッグス粒子として、10次元表現2個と126次元表現1個からなる模型を考察した。この模型では、ニュートリノの質量行列は、クォークの質量行列と荷電レプトンの行列で与えられる。この模型で、大気ニュトリノと太陽ニュートリノ問題を説明するニュートリノの質量スペクトルと混合角が予言されることを示した。 ニュートリノが複合粒子である可能性を考え、励起状態にあるニュートリノと電子およびWボソンとの結合の強さについて、二重ベータ崩壊からの制限を求めた。 また、電子と電子が衝突し、2個のWボソンを生成する過程はレプトン数を破る過程で、大変重要である。この過程を複合ニュートリノ仮説の基に解析した。特に、二重ベータ崩壊からの制限を加味し、どの程度の断面積が許されるかを考察した。 2. 対称模型におけるフレーバーの物理について主に研究を行なった。大統一理論および普遍的超対称性の破れを仮定した超重力模型におけるボトムクォークの稀崩壊について調べた。特に、b→sll崩壊について詳しく調べ、Bファクトリー実験等で標準模型からのずれを発見し得ることを示した。また同じ過程を多ヒッグス模型についても調べた。 また、電子陽電子(あるいは電子電子)線型衝突型加速器やミューオンコライダーといったレプトンコライダーにおけるスカラーレプトンの生成崩壊過程でのレプトンフレーバーの破れについて調べた。超対称SU(5)大統一模型では、第2、第3世代の右巻きスカラーレプトン間で大きなフレーバー混合を観測し得ることを示した。さらに、右巻きニュートリノを含んだ超対称標準模型では第2、第3世代の左巻きスカラーレプトン間で大きな混合が最近のニュートリノ振動実験から示唆され、コライダー実験でこれを観測し得ることを示した。 超対称SU(5)模型については、ミューオンの電子と光子への稀崩壊についても調べ、その分岐比が従来言われていた値よりもかなり大きくなり得ることを示した。
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