研究概要 |
ニュートン重力のもとでは、回転に固有のある種の軸性モードの振動運動が可能になることが知られている。さらに、このモードに伴う重力波放出の不安定性が重要であると近年指摘されている。そこで、一般相対論的な枠組みで回転を摂動的に取り扱う手法でこの問題を研究した。回転の最低次の計算では固有関数は決まらないので、回転の高次の効果も考慮した。物理的内容を明確にするために、流体の運動のみに着目して重力の変動をすべて無視するという近似を用いた。回転の三次の効果までを取り入れ、その高次の効果がいかに固有関数の決定に関係するかを示した。星のエントピー分布が重要な要素で、一様なエントピー分布の場合には許される振動モードに大きな制限があることがわかった。さらに,このモードが重力波放出の不安定性とどのように関係するかを現在検討中である。 また、マイクロレンズによる光の増光が観測されているが、その時間変動の曲線の非対称性からレンズのどのような物理量を探れるかという問題を考察した。その結果、レンズの持つ相対論的な性質にはほとんど関係しないが 連星系などの場合にどのような光度曲線になるかを示した。 また、相対論的な速度で膨張する点源爆発の爆風の安定性を考察した。その結果、成長の割合と揺らぎの構造にある種の制限があり、ガンマ線バーストの観測結果が示す極めて激しい時間変化との関連を明確にすることが今後の研究課題である。
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