研究概要 |
ニュートリノ質量行列を扱うための基礎となるクォーク・レプトンの統一質量行列模型「デモクラティック・シ-ソ-型質量行列模型」に関して,若干の進展があった. (1)このモデルは単にm_t≫m_bを与えるということではなく,「なぜm_tのみがelectroweak scaleであるのか」にまで答えてくれるということに気付く.[PTP (1997)] (2)以前は数値解のみを求めたにすぎないが,遂に,解を解析的に表現することに成功する.[PTP (1997)] (3) electroweak scaleでの質量行列m_L (m_R)の構造の起源について,1つの可能なシナリオ「U (3)ファミリー・ノネット・ヒグスボゾン」仮説を提案する.[ZP (1996)] ニュートリノ質量行列については,まだ研究はスタート地点であるが,次の進展を見た.[MPL (1996)] (1)デモクラティック・シ-ソ-型統一模型では,大気ニュートリノ観測データから示唆される大角度混合を,最も自然な形で説明できる. (2)質量スペクトルについては,2重にシ-ソ-機構を仮定することにより,実験と矛盾のない解を選ぶことができる. (3)しかし,右巻きニュートリノにのみM_F (〜10^5GeV)より更に大きなスケール,(〜10^9GeV)のマヨラナ質量を与えねばならないなど,まだモデルとしては不自然な点があり,改善されねばならない.
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