研究概要 |
1.クォーク・レプトン統一質量行列の立場から,ニュートリノ混合と質量スペクトルを扱うためには,その基礎となるクォーク質量についての信頼できる数値表が必要である.房岡の助けを借りて,過去のデータ・計算を体系的に再検討し,遂にクォーク質量についての標準数値テーブルを完成させた.結果はアメリカ物理学会誌Phys.Rev.[D57,1998]に発表される. 2.detM_U=0を持ったシ-ソ-型質量行列模型の特徴として,右巻きカレントの構造に異常があらわれることに気づく.重フェルミオン質量のスケールλm_oがあまり大きくないケースについて,第4のアップクォークt´やフレーバ非保存中性カレントの観測可能性についての分析をまとめる[Phys.Rev.D56,1997]. 3.ニュートリノ質量行列模型については,前年度に提案したモデルと異なって,m_o〜O(m_L),κm_o〜O(m_R),λ〜O(M_F)0以外にさらなるエネルギースケールを導入しなくとも,クォークと荷電レプトンに対してはM_f【similar or equal】m_LM^<-1>_Fm_Rで,そしてニュートリノに対してはM_ν【similar or equal】m_LM^<-1>_Nm^T_Lとして,シ-ソ-機構を働かせればよい.具体的にはκm_o〜10^<10>GeVあたりに選べば,ニュートリノの諸データをうまく説明ができることを見出す[Phys.Rev.D,1998].但し,この論文の完成後に神岡の新しい大気ニュートリノのデータが公表されたので,入力パラメターについては若干の修正がなされる余地がある.
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