研究概要 |
阪大RCNPの実験で初めて発見された(p,2p)反応の励起関数の^<11>B(s-hole)領域における3つのbump構造、および各々のbump領域における陽子,重陽子,t及α分解チャンネルに対する分岐比のエネルギー依存性の起因を明らかにするために、1〓ω殻模型の波動関数を用いて分析を行った。 ●軽い核のs-hole状態に対するSU(3)模型で指摘されていたように、^1B核ではSU(3)[f](λμ)=[443](04)成分がs-hole成分として重要な役割を果たすことが1〓ω殻模型を用いた分析でも明らかにされた。この成分は他の成分と結合してある程度分散するが、その分散の度合いは主に3つのエネルギー領域に集中し、結果として^<12>C(p,2p)反応の励起関数の^<11>B(s-hole)エネルギー領域における3つのbump構造の起因になることがわかった。 ●s-hole成分であるSU(3)[f](λμ)=[443](04)成分と他の成分との結合の度合いが3つのbumpに対応するエネルギー領域において異なることを反映して、特徴的なエネルギー依存性を示すことがわかった。これらのエネルギー依存性は実験データと定性的に良い対応をしている。特に、粒子・空孔相互作用の斥力的性質を反映して空間対称性の良く、かつt分解成分が大きい[443](04)基底がエネルギー的に高い領域に持ち上げられ、この結果Ex≦20MeVではt分岐比は小さいが、Ex≧20MeVでは大きくなることが明らかにされた。 ●軽い核のs-hole状態からのt分解は核子崩壊寿命に対して新しい下限値を与える可能性がある。このため、^<16>Oが核子崩壊してできる^<15>O(s-hole)状態からのt分岐比から核子崩壊寿命の評価を試みた。
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