研究課題/領域番号 |
08640398
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
和田 隆宏 甲南大学, 理学部, 助教授 (30202419)
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研究分担者 |
阿部 恭久 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (80000868)
太田 雅久 甲南大学, 理学部, 教授 (30068134)
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キーワード | 高励起複合核 / 融合・分裂反応 / fast fission / 散逸動力学 / 多次元ランジュバン方程式 / 核摩擦係数 / 粒子多重度 / 分裂片分布 |
研究概要 |
ランジュバン計算コードの進展状況は以下の通りである。多次元計算用の高速内挿ルーチンが完成し、三次元までの計算が実用的になった。原子核の形状を記述する二中心模型コードの整備がほぼ完了し、巨視的液的模型に微視滴殻補正エネルギーを加えた変形エネルギーを、任意の核でランジュバン模型用に計算可能となった。統計コードは、変形依存性のみでなく他の目的も含めて整備中である。 計算コードに関しては新しい発展があった。巨視的模型に頼っていた摩擦テンソルの計算に微視的模型を用いることである。これは理化学研究所山路氏との共同研究によるもので、温度依存性を含む微視的摩擦力を用いて核分裂の時間スケールを再評価するものである。微視的摩擦力のコードをランジュバン計算用に整備中で、来年度に計算を開始する。 核融合・分裂反応の包括的研究は、原子番号が80を超える領域で現れるエクストラプッシュと呼ばれる現象に注目して多次元ランジュバン模型による研究を行っている。二次元模型による解析で、エクストラプッシュは摩擦力の効果として理解可能であることを示し、春の学会で報告予定である。 超重元素合成の可能性が大きな話題となっているが、分裂障壁が非常に低く、融合と分裂を包括的に扱うことが理論に不可欠な要素である。一次元模型による解析から特徴的な励起関数を得、超重元素合成への新しい可能性を示唆した。(Physical Review Cより印刷中)来年度は多次元ランジュバン模型による研究にとりかかる。 ガンマ線と荷電粒子の同時計測により、融合・分裂反応における反応時間の角運動量依存性が初めて計測された。二次元ランジュバン模型でこの実験を解析し、角運動量依存性を再現し、これがポテンシャルの角運動量依存性に起因することを示した。(理化学研究所中川氏との共同研究、現在投稿中)
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