(1)火山噴出物中のアルファ放射性物質の検出 微粉末状にした火山灰や岩石の試料から放出されるラドンガスを捕集しそこから放出されるアルファ線を検出するために、ラドンガスの補集容器、アルファ線検出のための真空槽及び試料交換のための可動装置の製作を行った。 捕集容器はアルファ線が貫通できる薄膜の窓を設け、そこを通してアルファ線の検出を行う。 さらに温度制御装置によって試料の温度を上げることでガス放出を増やすことができるようにした。 この装置にBragg曲線検出器を取り付け、先ず鉛試料からのアルファ線の検出を行った結果、ラドンから放出されたアルファ線のピークを観測することができた。 雲仙からの火山灰を試料にしてアルファ線の検出を行ったが、鉛試料に比べると10分の1以下の強度しかなく100時間程度の測定で定量的なデータを得るにはさらに検出効率を上げる必要がある。 (2)地下水中のラドンモニターの製作 地下水に含まれるラドンをモニターするためのステンレスの水槽(容積約40l)を製作。 大学構内にある深さ100mの井戸から汲み上げた地下水約10lを水槽に入れ、上部空間に置いた半導体検出器でアルファ線の検出を行った。 このとき水槽と検出器の間に電圧をかけ、水槽内の空間に放出されたラドンガスがアルファ崩壊してできる娘核の正イオンを半導体検出器の表面に直接捕集し、娘核からのアルファ崩壊の検出を行うことでラドンの量を評価する。 地下水からのラドンガスの放出を促進するため撹拌装置で常時水を撹拌しながら測定を行った。 3カ月ほどの測定期間内に大学から20km程離れた地点を震源とする地震が2度起きたが、いずれもマグニチュード3.5程度の小さな地震のためか地下水中のラドンの量の変化と地震との関連性は明白には現れなかった。
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