研究概要 |
今年度は,標準模型を越える模型に関して以下の研究を行い,3点の論文を発表した。 1)研究協力者 門吉 朋子・大下 範幸による研究ー超対称標準模型において,Wボゾンは,1ループのファインマン図形を通じて,電気双極子能率を持つ。この結果として,中性子や電子にも電気双極子能率が生ずる。これは,実験の精度が現在よりも一桁上がれば,検出される可能性を示した。 2)研究分担者,及び研究協力者 上杉 智子・山口 あづさによる研究ー標準模型にアイソシングレットクォークとシングレットヒッグスが加わると,新たなCPの破れの原因となる。この拡張模型において,宇宙のバリオン非対称性が,電荷輸送機構により,説明され得るか否かについて議論した。 3)研究代表者等による研究-超対称標準模型においては,ゲージボゾンのパートナーとして,ニュートラリーノと呼ばれるマヨラナ粒子(粒子・反粒子が同一のフェルミオン)が4種類含まれる。これらが関係する相互作用は,フェルミオン数保存を破る。またディラックフェルミオンでも,チャージ-ノが関係する相互作用には,フェルミオン数保存を破るものがある。これらの相互作用を伴う粒子の生成反応に対して,その散乱振幅を数値化する自動計算システムを開発する為に,新たなアルゴリズムを考案した。更に,これを実装したシステムの検査を,多数の超対称性粒子生成反応について行った。
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