研究概要 |
1.Bメソンの崩壊に関して,観測された異常に大きい崩壊率を説明するために,非傍観者(non-spectator)グラフを含んだ,新らしい崩壊メカニズムを提唱し、包括的及び非包括的崩壊過程の崩壊率の実験値を,非常に良く再現することができた。更に提唱したメカニズムを検証するために,スピンが1のK^*メソンへの崩壊率を予言した。(論文[1])次に,BメソンがKメソンとη′メソンへの崩壊過程と全く同様のメカニズムが働くと予測される,Bメソンがパイメソンとη′メソンに崩壊する過程を研究した。この過程には別のグラフで記述される反応が存在し,非常に大きなCPの破れが直接観測される可能性が判明した。(論文[2],[8]) 2.超対称性模型の場合,WWγに誘起された結合は,最も大きく見積ると,中性子および電子の電気双極子能率を,現在得られている実験上限値の0.1倍の大きさで惹き起こす。また,WWZに生じる結合の大きさは,近い将来の電子・陽電子散乱実験で,Wボゾン対生成過程を調べる事により検出が可能になる程,大きい値であることが判った。(論文[3]) 3.CPの破れの証拠となる,中性子や電子の電気双極子能率の理論的な予言値を,実験の上限値と比較する事により,模型に対する強い制限が得られる。この制限を満たしながら,トップクォークやBメソンの部分崩壊幅に現れるCP非対称性を研究した。(論文[4],[5]) 4.線形加速器において軽いヒッグス粒子が一つ見つかった場合,超対称性模型を仮定したとして,超対称性模型のパラメーターであるtanβと超対称性の破れのスケールMが,どのくらい正確に決定できるかを調べた。(論文[6]) 5.最小超対称性標準模型の自動計算システムGRACEから得られた,FORTRANソースコードを用いて,イベントジェネレータSUSY23v2.0を構築した。(論文[7])
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