研究概要 |
格子量子色力学では数値計算を可能にするため4次元時空を格子間隔がaの4次元格子に離散化するのであるが、現在の計算機の能力では格子間隔aをa^<-1>=2〜4GeVより大きくする事は出来ない。bクォークの質量m_bは約4.5GeVと格子間隔a^<-1>より大きいので、Bメソンの崩壊定数f_Bの計算には大きなO(m_ba)誤差があると考えられる。ウィルソンおよびクローバーフェルミオンを採用した格子作用を用いて、格子間隔a,クォーク質量m_bを系統的に変えた計算を行ない、O(m_ba)効果を組織的に研究し、連続極限での崩壊定数f_Bの値の評価を行った。 Kメソンのバッグ定数B_Kの計算には大きな格子間隔依存性があることが分かっている。連続極限でのB_Kの値を得るにはこの効果を精度良く評価する必要がある。カイラル対称性を持つKSフェルミオンを採用した格子作用を用いて、格子間隔aがa^<-1>=2〜4GeVの大規模計算を行い連続極限でのB_Kの値を評価した。また、格子上でカイラル対称性が破れているウィルソンフェルミオンによる研究も行なった。カイラル対称性が破れているために起こる演算子混合の問題を解決するため、カイラルWard恒等式を用いた新しい非摂動論的方法を提案し、統計誤差は大きいがKSフェルミオンと矛盾しない答が得られる事を示した。 Kメソンが2体のπメソンに崩壊する過程でアイソスピンが3/2変化する場合の確率振幅の計算、軽いハドロンに関する質量スペクトルや崩壊定数の計算を行った。
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