初年度に研究代表者が急遽一年間米国出張することとなり、分担者が代表を代行することになったため、やむなく研究テーマを修正し本年度は2つのテーマを取り上げた。即ち(1)GaAS(001)基板における金属In吸着研究、(2)InAs/GaAsヘテロエピキタキシにおける量子ドット形成等である。前者のIn吸着については2つの新しい表面構造4x2/c(8x2)及び6x2/c(12x2)を発見した。そして高分解能STM像のバイアス電圧依存性から、可能な原子構造モデルを提案した。これら2つの構造の重要性はこれらを出現させてから、InAs成長させると、新しい層状成長モードで結晶育成することが判明したことで、これは高性能光学デバイス製作等への観点から重要な意義がある。後者については通常のMBE成長条件で1.6-3ML厚さのInAs蒸着した際に得られるInAs量子ドット形状やサイズの統計的分布測定を行った。ファセット面が(113)或いは(114)に集中していることは、前年度で報告した通りであるが、その後量子ドットの高分解能STM像を得ることが可能となり、それより(113)-4x1及び(215)-1x1ファセットモデルを提案した。これは量子ドット形成機構解明に有用なものと考えている。
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