研究概要 |
本研究の目的は光学応答スぺクトルの立場から半導体表面・界面のミクロな電子状態と成長の素過捏を解明することであり、本年度得られた知見は以下である。 1.(001)再構成表面微細構造(準安定表面)の同定:Ga表面のスぺクトルには、再構成表面第1層のGaダイマーとは直接関係のないピークが2.0eV付近に見られることを示した。このピークの起源は、電子非占有なダングリングボンドを持つ第1表面層のGaがsp^2結合を取り安定化しようとバルク層に沈み込むと、表面第2層日のAsの電子占有されたダングリングボンドが表面に垂直に立ち上がり、このダングリングボンドから表面第3層日のGaのs軌道反結合軌道への光学遷移が出現することにある。このように光学応答スペクトルには、表面第1層だけてなくそれより内部の構造も反映される。同様の現象はZnSe再構成表面においても顕著に現れる。この結果から、カチオン表面に原子が吸着していく場合には、まずこのスペクトルピークが変化することがわかった。 2.異原子初期吸着(001)成長表面におけるスペクトルの特徴:GaAs表面にN,P,Sbが置換吸着すると、スペクトル強度はSbPNの順に小さくなる。その原因は、吸着原子の軌道エネルギーとGaAsのバンド構造の相対的位置関係にあることが解明された。特にNが吸着した表面では、スペクトルか消滅する。 3.(110)再構成表面のスペクトル:(110)非極性表面では再栴成バックリング構造を反映して、AsのダングリングボンドからGaーAsボンドの反結合状態及びGaのダングリングボンドへの光学遷移ピークが、それぞれ3eV及び5.0eVに現れる。すなわち、成長時にこのピークを観察することで吸着原子サイトが同定可能となることがわかる。
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