• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1996 年度 実績報告書

透過型電子顕微鏡内その場光励起分光測定による半導体極微小欠陥の熱的挙動の研究

研究課題

研究課題/領域番号 08640418
研究機関大阪大学

研究代表者

竹田 精治  大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70163409)

キーワード電子照射効果 / ガリウム燐 / カソード・ルミネッセンス / フォト・ルミネッセンス
研究概要

透過型電子顕微鏡内その場可視分光測定により、化合物半導体GaP中における、電子線照射下での点欠陥反応について研究した。この結果は、電子励起状態での点欠陥反応の構造論、電子論両面からの研究に対する、透過電顕観察(TEM観察)下での光物性測定の有用性を示すものである。
GaPに90K以上で200keV電子線照射を行い、照射後に700K以上で熱処理を加えると、照射領域のみに格子間型転位ループの形成がTEM観察された。系統的なTEM観察の結果、ループの形成は電子線照射下で導入された格子間原子対の拡散が原因と結論された。しかし照射中には格子欠陥の明瞭なコントラストは観察されない。TEM法では直接観察が困難な電子線照射下での点欠陥反応を、TEMモードのフォトルミネセンス/カソードルミネセンス法により調べた。
試料は90K以下で560、725、820nm付近に残留不純物の酸素および硫黄による発光を示す。90K電子線照射で、この不純物発光の強度の減少が観測された。この結果は非発光準位を生じる照射誘起欠陥の形成を意味する。発光強度の減少は20K照射では見られないが、照射後90Kで熱処理した試料を再び20Kで測定すると照射領域のみ発光強度の減少が見い出された。この温度領域では、原子空孔は拡散できない。これらの結果は、(1)電子線照射下で導入されたフレンケル欠陥は20Kでは凍結、(2)格子間原子の熱的拡散で非発光準位を生じる複合欠陥を形成、の2点を強く支持する。
90K照射で、発光強度の逆数は照射量の自乗に比例して増加した。これは複合欠が照射量の2乗に比例して生成と考えれば巧く説明でき、2個の格子間原子の拡散集合による複合欠陥、すなわち格子間原子対の生成を示唆する。これは、高温でのループ成長過程の解析より得られた結論とも一致する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Y.Ohno and S.Takeda: "Study of Electron-Irradiation-Incluced Defects in GaP by In-situ Optical Spectroscopy in a Transmission Electron Microscope" J.Electron Microscopy. 45. 73-78 (1996)

  • [文献書誌] Y.Ohono,S.Takeda and M.Hirata: "Clustering Process of Interstitial Atoms in Gallium Phosphide Studied by Transmission Electron Microscopy" Physical Review. B54. 4642-4649 (1996)

URL: 

公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi