研究実績の概要 本年度は主として新しい化合物結晶の育成を目的とし、次の方針の許に研究が進められた。[1]ペロブスカイト型酸化物を基礎結晶とする。[2]規則的に配置された大きな空洞を持ち、その空洞に電荷を取り込み易い結晶の探索。[3]電気特性の測定。 結果的に、当初考えていたアルカリ金属導入型の化合物(アルカリモリブデンブロンズ)より、電荷の出入りに際し結晶構造が安定な2次元結晶の作製に成功した。すなわち、[1]モリブデンほかの金属酸素8面体の頂点を連ねた層状結晶で、層内に大きな空洞を持ち、その空洞内にビスマス、テルル、等、種々の多価金属を含む同形異種化合物が作製出来る。 [2]空洞に何も含まれない化合物は絶縁体であるが、多価金属を含む化合物は電気伝導度が大きい。金属の種類、濃度、結晶育成条件により注入電気量が大きく変化する。 [3]多価金属を含む化合物は半導体的だが、興味深い非線形伝導特性を示す。 結果は学術論文誌に掲載されたもの5編、国内の学会及び研究会での発表及び発表予定5件にまとめられたほか、アメリカの研究グループから共同研究の申込が来ている。
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