研究課題/領域番号 |
08640428
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
馬越 建次 姫路工業大学, 理学部, 教授 (10116098)
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研究分担者 |
小泉 裕康 姫路工業大学, 理学部, 助手 (60240959)
島 信幸 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (90167445)
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キーワード | 電子状態 / 分子軌道計算 / PF_3 / Ni(111) / 幾何学的位相 / CI計算 / LCAO計算 / 擬ポテンシャル法 / 分子操作 |
研究概要 |
今年度は最終年度であるが、各種の電子状態計算法を整備してきた。まだ、吟味しなければならないことは多く存在しているが、具体的な系に応用する準備は、ほぼ整った。実際に今年度実行したことを記す。1)PF_3/Ni(111)系の電子状態を計算し、その回転状態および光刺激脱離における幾何学的位相の効果を調べる目的で、2個のPF_3をNi表面の第2近接位置に置き、一方を回転した場合に他方の配置を最適化した場合の断熱ポテンシャルを計算した。障壁は非常に小さく、基板のNiによるものであることを推定した。同時にNiクラスターの電子状態を計算しているが、分子軌道計算であっても、異なるスピンの状態が非常に接近しており、どの状態が基底状態かの判定が難しく、現在CI計算により検討を行っている。あわせて、基底状態に縮退があるH3およびH4系について、バレンスボンド法による電子状態計算と、得られたポテンシャル面上での波束の時間発展を計算中であり、また定性的議論によりどのような効果が現れるかを検討した。また、バルクにおいてもJahn-Teller型あるいは軌道整列が起こる系での定式化も試みた。2)金属表面上の吸着水素の動力学(吸着、脱離、解離等)を定量的に扱うことを目的として、擬ポテンシャル法による電子状態計算のプログラムを作った。Al表面に適用したところ、分子吸着と解離吸着の2種の吸着位置を見出し、現在表面からの距離および幾何学配置に依存したポテンシャル面を計算中である。3)時間発展演算子法の応用として、多電子系のエネルギー固有値と波動関数を求めること、および、メゾスコピック系の光学応答の計算を行った。現在結果の吟味中である。4)STMチップによる分子操作における電流の効果を調べるため、分子内振動を表面に残す電流成分を計算する定式化を行い、LCAO計算によるプログラムを作り、実験結果を定性的には説明できることを示した。
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