研究概要 |
アモルファス物質の光照射効果には,(1)蛍光,(2)欠陥生成,(3)構造変化の3現象が通常観測される.最近になって,蛍光が自己捕獲励起子の再結合によることが明らかにされた。欠陥生成と構造変化も,励起子の再結合によるという提案が断片的になされつつあるが,いまだ実験的証拠はいまだ得られていない.本研究の目的は,結晶およびアモルファスSiO_2クラスターに半経験的分子軌道法を適用し,(1)結晶とアモルファス状態での励起子の緩和形態の比較、(2)アモルファス状態での欠陥生成の機構、(3)基底状態への遷移後の構造変化の機構を明らかにする。 平成7年度は主としてチャコルゲナイド(As_2S_3,As_2Se_3)における欠陥生成とSiO_2に関する欠陥生成との比較検討を行った。その結果、両者の挙動が極めて類似していること、すなわち、価電子帯の項上はAs-Se等の無結合軌道によりなること、結晶体アモルファス体ともに励起子が自己捕獲されること、および結合の切断によって欠陥が生成することが明らかになった。今後石英における自己捕獲励起子と欠陥対の構造に再検討を加え、チャルコゲナイドにおける光誘起現象との類似性と差違を明らかにすることを試みる。
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