1/dとk_BT_K/Uを小さな展開パラメターとする強相関遍歴電子系の理論を引き続き発展させている。ここでdは空間次元数、k_Bはボルツマン定数、T_Kは局所近藤温度、Uは局所クローン斥力である。今年度は近藤格子でのスピン揺動のモード・モード結合理論とCeRu_2Si_2のメタ磁性の理論と遍歴電子磁性のクロスオヴァー領域で磁気構造のサイン波構造とヘリカル構造のクロスオヴァーの理論、遍歴電子系での磁気的交換相互作用の理論を日本物理学会欧文誌(Journal of the Physical Society of Japan)に発表した(2月号掲載予定で現在印刷中)。 現在次のテーマの研究が進行中である。(1)高温超伝導体の正常状態異常の発現機構の研究。具体的には、増強された超交換相互作用によりGutzwillerの重い電子が軽い準粒子に繰り込まれることの可能性を調べている。これにより、正常状態における異方的擬ギャップの形成等が説明できると期待している。そのほかに、(2)CeRu_2Si_2のメタ磁性転移におけるパラマグノン効果の研究、(3)典型的遍歴電子磁性体におけるCurie-Weiss機構の研究、が進行中である。
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