研究課題/領域番号 |
08640449
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
浅井 吉蔵 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (00109795)
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研究分担者 |
近 桂一郎 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063656)
鈴木 勝 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20196869)
山田 修義 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (40017405)
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キーワード | spin-state transition / magnetovolume effect / pressure dependence / lanthanum cobalt oxide / LaCoO_3 / metal-insulator transition |
研究概要 |
LaCoO_3では、100K付近と500K付近の2つの温度領域でスピン転移が提案されてきた。特に500K近傍の転移は電気抵抗の大幅な変化を伴う。従って、スピン転移は単にスピン自由度だけの問題ではなく、スピンが電荷及び格子に強く結合した現象であると考えられる。本研究ではスピン、電荷、格子の3者の相互作用を明らかにする目的で、1)スピン転移に伴う格子の膨張とスピン転移の圧力効果、2)スピン転移に伴う弾性異常、3)元素置換のスピン転移と伝導に対する効果を研究した。1)では中性子回析により、100K、500Kの2つの温度領域でスピン転移に伴う体積膨張を明らかにし、この物質では中間スピン状態を経た2段階のスピン転移が存在するとの結論を得た。更に100K領域のスピン転移の圧力依存性を明らかにし、前述の結果と合わせて各スピン状態エネルギーの体積依存性を明らかにした。2)では、超音波測定により100Kスピン転移に伴い格子のsofteningが起こり、且つその温度領域で超音波吸収が顕著に増大することを明らかにした。一方、元素置換により最低温まで磁性状態が保たれた試料ではこのスピン転移に伴う異常がなく、代わりにスピングラス転移温度で音速異常が存在することを明らかにした。3)では、従来LaをSrに置換した系について広く研究が行われていたが、本研究ではCoをNiで数%置換した系の単結晶作製を行ない、その試料で100K領域のスピン転移の消失とスピングラス相の出現を明らかにした。伝導に対する効果も含め、Ni置換の効果はSr置換の効果と極めて類似している。ホール効果の予備的測定の結果も含め、現在までの実験結果はNi置換はSr置換と同様にhole-dopingであることを示唆している。しかしこの点に関してはさらに慎重な検討が必要がある。
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