研究概要 |
(1)GGA-FLAPW法によるCu(100)C(2×2)Cu3d表面合金生成のエネルギー論的検証 密度汎関数法における密度勾配近似の一つであるgeneralized gradient appoximation(GGA)をfilm-FLAPW法に用い、Cu(100)上のC(2×2)Cu3d表面合金の安定性を表面合金相と解離相のエネルギー比較(formation energy)および表面合金相と下地内孤立不純物相との間のエネルギー(interdiffusion)比較によって評価した。CuMn表面合金が0.5の被覆度においてCu(100)上に安定に生成することが実験的には確認されているが、局所密度近似(LDA)による計算では、その安定性を支持する結果を得ることは出来ないが、GGAによればCuMnは表面合金として安定に存在することが示された。又、CuTi表面合金の存在も予言された。表面合金生成のエネルギー論における微視的機構を考察した。 (2)Cu(100)上Fe超薄膜のスピン配列の第一原理的予測 bulk Feのfcc構造は、静的には磁気モーメントの消失した高温においてのみ見られるので、下地により格子定数を強制されているCu上のfccFe薄膜は、Cu合金中の整合析出fccFeとともに、精力的に研究され、実験上の不一致も近年、ほぼ、収束に向っている。これまでのLDAによる第一原理計算では、実験で得られる"層状4位より下では強磁性"という結果を再現することは出来ずパズリンクであった。我々はCu(100)上のFe超薄膜の磁気構造を、Cu格子定数をもつ、free standing Fe film及び3層のCuをサンドウイッチにしたnFe/_3Cu/nFeの構造の系に対しGGA-FLAPWの計算を行い、(i)面内では、強磁性が圧倒的に有利,(ii)3層までは面間しFMの方が安定であるが、(iii)4層以上では面ではuuddの様な2層を単位として1層と4層かくり返す構造が再安定であることを見直した。uuで始まる磁気構造間のエネルギー差は小さく層数を増加させることにより、この様な磁気構造の数は増加するから、有限温度ではこの様なpseudomorphicな構造で超安定磁気を特定することはむつかしく、界面の状況に与えるわずかな実験条件のちがいが、磁気構造をpinningするという推論に至る結果を得た。
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