研究概要 |
立方晶構造をとる典型的近藤半導体Ce_3Bi_4Pt_3およびYbB_<12>のT=4.2Kにおけるエネルギーギャップの値の平均値は、Ce_3Bi_4Pt_3で2Δ【approximately equal】90meV,YbB_<12>で2Δ【approximately equal】230meVであることを世界で初めて明らかにした。両物質ともギャップは帯磁率がピークをとる温度T_x{【approximately equal】80K(Ce_3Bi_4Pt_3)_2【approximately equal】75K(YbB_<12>)}以下で急激に発達し、低温でも相転移の秩序変数よりも激しい温度変化をする。低温でのギャップの大きさは輸送係数の温度変化からの推定値(【approximately equal】6-10meV)に比べて桁違いに大きく、この傾向は斜方晶CeNiSn・CeRhSbと同様である。また、ギャップ形成に関与する相互作用の大きさをあらわす2Δ/k_BT_Xの値はCe_3Bi_4Pt_3で約13、YbB_<12>で約36となり、T_Zがほぼ等しいにもかかわらず約3倍の開きがあることを明らかにした。これは後者は前者に比べてギャップ形成に関する特性エネルギーが高いことを示す。この違いの原因を更に深く探るため、これらの2Δを各物質の帯磁率のT=0への外挿値_X(0)から求めた特性温度T^*=C/_x(0)でそれぞれ規格化すると(Cは各物質のキュリー定数)、両者とも2Δ/K_BT^*【approximately equal】3.5-4となり、約3倍の開きは解消された。これは有限温度の非磁性状態で生ずる半導体ギャップとT=0Kの磁気的性質が、普遍的な形で直接関わっており、ギャップ形成機構が共通であることを明快に示す。このT^*は近藤温度T_Kに対応するとされているが、その実験的な裏付けをとることが今後の課題である。
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