I. 4f希土類元素15種の内11種が炭化物としてフラレン内に閉じ込められることを明かにした。電子顕微鏡とX線回折とによりストイキオメトリーと相とを決定した。また、熱分析によりフラレン内の含有濃度を評価した。さらに、共通したストイキオメトリーをもつ原因が〜2000℃での共晶反応にあることを明かにした。結果は、Physica BとCarbonとに発表した。 II. 希土類金属炭化物を内包するフラレンと中空多層カーボンナノチューブとについて、磁場中での電気伝導特性を調べた。前者のデータは二次元の、後者のそれは三次元の広域ホッピング伝導機構で理解できた。低磁場磁気抵抗の温度・磁場依存性は、この伝導機構に対する量子干渉効果をしめすことを明かにした。成果は、Applied Physics LettersとJournal Applied Physicsとに発表した。 III. 中空多層カーボンナノチューブからなる薄膜生成をおこなった。その電気伝導特性を7-300Kの温度範囲で調べ、既報の単一 中空多層カーボンナノチューブでの結果と比較した。その結果、それら間の接触抵抗は温度依存性をもたないことを明かにした。成果は、Applied Physics Lettersに発表予定である。 IV. 炭化セリウムを内包するフラレンについて磁化測定を系統的におこなった。反強磁性相からスピンフロップ相、スピンフロップ相から常磁性相への磁場誘起転移を観測し、それらの相図を明かにした。成果は、Applied Physics Lettersに発表予定である。
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