研究概要 |
前年度に引き続いて,Fe^<2+>,Fe^<3+>の電荷秩序とその緩和に関する知見を得るねらいで,LuFe_2O_4の誘電緩和の精密測定を行った.とくに装置を改良して,測定周波数を10Hz域に拡張するとともに,3次応答の測定を可能にした.あわせて,焦電気効果による自発分極の測定を始めた.また,池田は山田安定(早大理工総研)らと協力して,X線の異常分散を利用する回析実験を行い,3次元電荷秩序についての直接的な証拠を得た.また,3次元電荷秩序による自発分極を巨視的な測定で確認した. これらの結果とこれまでの結果をまとめて,以下の結論に達した. 1)150-200Kに特徴的に現れる誘導分散は,3次元電荷秩序相内の長周期構造間の境界の移動で説明できる. 2)320K移転の直上では誘電率の極大が現れる.その温度と測定周波数の間の関係は緩和時間の広い分布を特徴とする. 3)2)に加えて,転移温度領域に非線型誘電率の極大が現れる. 4)2,3)は転移温度よりも高温の領域から存在する,局所的な分極の凍結で説明できる.以上について,論文を執筆し,J.Phys.Soc.Jpn.に投稿した.
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