研究課題/領域番号 |
08640500
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
松野 孝一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10120346)
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研究分担者 |
今井 栄一 長岡技術科学大学, 工学部, 教務職員 (30134977)
羽鳥 晋由 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (00283036)
本多 元 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20192742)
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キーワード | アミノ酸 / アミノ酸熱重合物 / プロリン / アスパラギン酸 / 緩和過程 / ナノ粒子 / マイクロカプセル / 履歴現象 |
研究概要 |
プロリンとアスパラギン酸の二種類のアミノ酸を熱処理して得られる熱重合物は水中において微小球(直径、約3μm)を形成する。この時のpHは約3程度である。ここで得られた微小球懸濁液のpHを7以上に上げると微小球を構成している熱重合物(分子量約4000)は溶出する。この溶出した熱重合物はアルカリ溶液中で構造変化を引き起こし、再び集積するという現象を示す。溶出から再集積への緩和過程に係る緩和時間は数分から数十分に及ぶ。 再集積過程では直径100nm程度のナノ粒子が析出する。pHの昇降を繰り返えすと、pH上昇時にはナノ粒子の溶出、それの下降時にはナノ粒子の析出を伴う。しかもpHの昇降に対して履歴現象を示す。析出したナノ粒子はpHを更に下げてもその形状を不変に留める。 ナノ粒子は互いに粒子間引力を及ぼし、ナノ粒子が接合することにより多様な構造を実現する。ナノ粒子が互いに接合して球面を作ると穀状のマイクロカプセルを作る。ナノ粒子から構成される球面はナノ粒子が一層のみならず、多層(2〜3層)になって構成されることもある。 アミノ酸熱重合物由来のこのナノ粒子はpHの昇降変化に対してその溶出、析出に関し履歴現象を示すが、pHが11.5を越えると履歴現象を示さなくなる。履歴現象が確認されたのはpHの変化が1〜11の範囲内である。 これまでに、アミノ酸熱重合物懸濁液は温度昇降に対して履歴現象を示すことが我々によって見い出されている。それに加えて、新たにpH昇降に対しても履歴現象が生起することがここに判明した。 アミノ酸熱重合物が原始地球上での物質進化の初期段階で容易に生成され得たことを鑑みれば、本研究の成果は、原始地球上の温度環境、pH環境が周期的に変動するならば、それからエネルギーを取り出すことが可能となることへの一つの支持を与える。
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