研究概要 |
本研究の目的は,これまで我々が開発し使用してきた,炭酸ガスレーザー差周波型の遠赤外分光計に改良を加えることにより,(1)非線形分光の手法により分解能のより高い測定を行えるようにすること,(2)分光計の周波数域を現在の上限の6THzよりさらに高周波側へ拡張すること(3)これら成果を分子のスペクトル測定に応用すること,である。 予算は年度後半に補正として認められたので,半年遅れのスタートであったが,目標(1)(2)はほぼ8割がた達成し,目標(3)では(1)の一部成果を利用して分子イオンの測定が行われ,Physical Review Letter誌に成果発表を行った。各目標にたいする成果は具体的に以下の通りである。 (1)非線形分光法の1つである飽和くぼみを観測できるように,分光計に適したファブリーペロ型光共振器を設計し,反射鏡の発注を行った。これに先立ち予備的な実験を行い設計のためのデータを揃えた。また,光源の強度を強くするために,2波混合型の分光計を組立て,実際に使用できるようにしたり,光混合用のダイオードの特性を改良した。反射鏡を入手次第最終的な実験にかかる。 (2)周波数を高周波側へのばすために,光混合用に出力1ワット級の半導体レーザーを用意し,これらの基本性能を調べた。また,同種レーザーと外部共振器を用いて周波数制御が行えるようにした。レーザー用の電源が2組揃ったら最終的な光混合実験を行う。 (3)目標(1)で得られた光源の改良により,吸収強度の弱い分子イオンのスペクトルの測定ができた。HeH^+イオンの回転スペクトルについて周波数の測定,解析を行い発表した。
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