(1)Calogero-Sutherland-Moser モデルに代表される量子多体問題の一般化を考えた。具体的には長距離相互作用ポテンシャルとして2種類の変形を考察し、それらに対する多体シュレ-ディンガー方程式の厳密解を得た。こららは、それぞれHermite多項式およびLegendre多項式の多変数化になっており、多変数の直交多項式の例を与えるものである。特に、量子学的な摂動論の類似物として、これら直交多項式を陽に表現する簡単な公式を発見した。 これらの直交多項式系は、メゾスコピック系に対するランダム行列理論に応用することが出来る。これらによる、コンダクタンスの普遍ゆらぎに対する寄与について、現在研究中である。 (2)結合型可積分系について、様々な可能性を検討している。特に、講演をお願いした岩尾、井上両氏からは有益な知見を教えていただいた。彼らによる結合型の変形KdV方程式や、ボルテラ方程式は「結合型可積分系の理論」の端緒を与えている。 現在、これらの系のポアソン構造や、サインゴルドン系の多成分化などについて研究中である。
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