(1)Volterra模型は、離散的な可積分方程式系のひとつとしてよく知られている。この系は一方でその代数的構造に着目すると、「格子W_2代数」というポアソン構造を持っている。これの多成分化、すなわち「格子W_N代数」の構造を持つ離散的な可積分方程式を考えた。これは「Bogoyavlenskyヒエラルキー」と呼ばれている離散方程式系に他ならず、この系の持つ隠れた対称性が格子W_N代数であることを見いだした。また、この方程式系を広田型双一次方程式に変形し、そのソリトン解を生成するバ-テックス演算子を具体的に構成した。 (2)磁場中におけるネマチック液晶の平衡状態を記述する方程式は、サインゴルドン方程式の静的な場合と同じものである。この解釈によると、「巻き数=0」の解が通常のフレデリックス転移を記述する安定状態の解となっている。これに対して、「巻き数±1」に相当する解は未だ議論されたことはなく、計算の結果「準安定状態」を記述する解であることを見いだした。このような状態を実験的に実現する方法を提案した。これらの結果は現在、日本物理学会欧文誌に投稿中である。 準安定状態から安定状態への緩和過程は、非平衡状態の統計力学としても理論的に興味深い問題であり、現在研究中である。
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