(1) 磁場中におけるネマティック液晶の平衡状態を記述する方程式は、サインゴルドン方程式の静的な場合と同じものである。この解釈によれば「巻数=0」の解が通常のフレデリックス転移をあらわす安定状態の解となっている。これに対して、「巻数=±1」に相当する解は未だ議論されたことはなく、調べた結果「準安定状態」を記述する解であることが判明した。このような状態を実験的に実現する方法を提案した。また、準安定状態から安定状態への緩和は、3次元的な変形によって、ある鞍点解を経由して起こることがわかった。この場合の緩和率の計算について、現在投稿準備中である。 (2) 初年度に考察した直交多項式の問題のうち、「ルジャンドル型」に相当する場合について、新たな発展があった。すなわち、これのq-変形版が、4次元ゲージ理論における「Nahm方程式」の解になっていることがわかった。このことは、古典ソリトン理論において直交多項式論が果たす役割について、新しい展望が開けたことを意味すると考えられる。現在、この問題について詳細な検討を加えているところである。
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