1. Dirac方程式のDirac振動子コヒーレント波束を、通常のDirac表示とFoldy-Wouthuysen(FW)表示において構築した。非相対論的極限で、これらのコヒーレント波束はSchrodingerの調和振動子(HO)コヒーレント波束に帰する。我々は、FW表示でのDirac振動子コヒーレント波束は、時間的に分散を伴うが、Dirac表示よりもはるかに古典的粒子に近い振る舞いを示すことを見出した。このFW表示の場合、Ehrenfcstの定理のDirac方程式版が自然な形で得られることを示した。 2. Dirac方程式に対して、Lorentz擬スカラー(PS)型の相対論的無反射ポテンシャルを構成する方法を示した。この方法は、Schrodinger方程式における類似の問題に対するKay-Mosesの逆散乱の方法の相対論的一般化である。 3. Dirac方程式における相対論的HOが、逆散乱法の方法を用いて如何にして構築されるかを示した。そして、相対論的HOポテンシャルは、Lorentzスカラー(S)型およびPS型のポテンシャルの場合に構築可能であり、Lorentzベクトル型のポテンシャルの場合には不可能であることを明らかにした。 4. S型及びPS層の外場中での非線形Diracソリトンのグイナミクスについて調べた。S型の線形ポテンシャルの場合、非線形Diracソリトンの質量中心の運動は非線形相互作用の強さに依らなく、この著しい特徴はいわゆるcollective variable Ansatz(CVA)を用いて解析することにより説明できることを示した。しかしながら、PS型ポテンシャルに対してはCVAはソリトンの運動を説明できなく、PS型ポテンシャルは明白な古典力学的対応を持たない。これは、PS型外場ポテンシャル中の非線形DiracソリトンのZitterbewegung効果とも関係する。 5. 数値量子グイナミクスにより、Aharonov-Bohm効果について時間依存モデルに基づいた解析を行った。次期研究計画では、数値量子グイナミクスを用いて主としてメゾスコピック電子系について調べる。
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