研究概要 |
本研究計画の目的は,(実体波及び表面波を共に含む)広帯域地震波形記録を波形インバージョンにより解析し,(核及びマントルを共に含む)全地球の3次元内部構造を推定することである.我々はこれまでに,理論波形及びその偏微分計数の計算精度を計算時間を増やすことなく最適化する新しい計算法(Geller & Takeuchi 1995,GJI)及び効率的な波形インバージョンのアルゴリズム(Geller &Hara 1993,GJI)を開発した.本計画ではこれらの成果を踏まえて本波形インバージョンを行うためのソフトウェア開発を行った.開発したソフトウェアの一部をインターネット上で世界中に公開した(global.geoph.s.u-tokyo.jp/:pub/dsm/よりanonymous ftpが可能).このソフトウェアを用いて,複数の研究者により成果があげられた.当初計画では実際の波形インバージョンも実施する予定であったが,本計画の次に実施する予定である局所的な微細構造推定や異方性構造推定に必要な理論波形計算の手法開発を先に行った.これらの計算も我々の手法を用いれば効率的かつ高精度に行えることがわかった. 本研究計画の成果により,広帯域地震波形データを用いた内部構造推定が可能になった.また我々が開発した新しい計算法は広範囲にわたり応用が可能で,本計画以外の地震学的な内部構造推定(石油資源探査などを含む)においても有効であることが示せた.
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